2026.08.03 Mon.
野球選手 右肩痛 投球イップス改善 宇都宮市 接骨院くら
投球時の右肩痛に隠れていた
投球イップス-高校球児の症例
本症例は、高校球児が訴える投球時の右肩痛の背景に、投球イップスが隠れていた症例です。主訴は右肩痛でしたが、その背景には、強く投げようとすると右肩が2、3段階固まるような感覚があり、無理に投球を続けることで右肩痛が生じていたと考えられました。
2回目の来院時、症状が出現する状況について詳しく問診を行ったところ、高校1年生の頃からスムーズに投げられない症状が続いていたことが分かりました。この症状が投球イップスであることを本人と共有し、PCRT認知調整法を取り入れたことで、症状は改善へと向かいました。
| 年齢 | 18歳 |
| 性別 | 男性 |
| 職業 | 高校生(野球部) |
| 患者の特徴 | 理解力がある、地頭が良い、素直、自分の意思がある |
| 発症時期 | 高校1年生 |
| 主訴 | 強く投げると右肩に痛みが出る。50%の力でも症状が出るため満足に投球できない |
| 発症からの経緯 | 中学生までは投球時に固まる症状はなかったが、高校入学後から出現。当初は頻度が少なく本人も気にしていなかったが徐々に増加。高校2年生時に前十字靱帯を断裂し長期離脱、競技復帰後に再びイップス症状が出現し、徐々に強くなっていった |
セッションごとの記録
- 送球50%で右肩に痛みが出る
- 体が温まるとまだいいが、痛みは出る
- 治療後は良くなったが、次の日には戻った
- 送球40%で右肩が痛い
- 60〜70%くらいで投げられている
- 痛みはだいぶ引いてきた
- 右肩が後ろに引かれて投げる時に固まる
- 強く投げる時は必ず固まる症状が出る
- 固まるのは週1回だけ。回数がだいぶ減った
- リリースの時におかしいのが分かる
- おかしいのが分かると固まる
- 右肩痛もだいぶ改善してきた
- 80〜90%で投げられている
- おかしいときがなかった
- イップスは出ていない
- 塁間より遠くなると右肩が少し痛い(10→3)
- イップスは出ていない
- 右肩痛は同じ感じ
- 右肩〜右上肢が毎週火曜日の6限体育が始まる前に痛くなる
- 気がついたら消えている
- 前回の火曜日6限の症状は大丈夫になった
- イップスも出ていない
- 100%で投げられるようになった
- たまに痛い時があるが、いい感じ
考察
本症例は、右肩痛を主訴として来院しましたが、その背景に投球イップスが隠れていた症例でした。「治療後は改善したが翌日には元に戻った」という経過から、身体だけでなく脳の誤作動記憶が関与している可能性を考え、2回目の来院時に投球動作や症状が出現する場面について詳しく問診を行ったことで、イップスの存在を把握することができました。
その後、本人と母親に症状の成り立ちやPCRT認知調整法について十分に説明し、認知調整法を取り入れたことで症状の改善に至りました。認知調整を進める中で、監督からの「評価」への警戒心や、「試合に出なければならない」「役割を果たさなければならない」という責任感、「失敗してはいけない」という解釈が、自分自身を縛るルールとなっていることが確認されました。また、自分の改善点ばかりに目が向き、自分の良い部分を十分に認識できていない思考の癖もみられました。これらの認知が積み重なることで、強く投げようとした際の予期不安につながり、身体を固める反応を引き起こしていたと考えられます。
そこで、監督からの評価は自分では知ることも操作することもできない一方で、自分の行動や考え方は自ら変えられることを共有し、他者の評価ではなく自分がコントロールできることへ意識を向けられるようサポートしました。また、自分の課題だけでなく、強みやできていることにも目を向けられるよう認知の修正を行ったことで、投球に対する不安が徐々に軽減し、イップス症状および右肩痛の改善につながったと考えられます。
本症例を通して、投球イップスでは身体へのアプローチだけでなく、心理面や思考の癖、自分を縛るルールを自己認知し、物事の捉え方や解釈の幅を広げることが改善に重要であると考えられました。また、痛みだけに着目するのではなく、その背景にある原因を丁寧に評価することが、症状改善につながる重要な要素であると考えられました。






