2026.07.25 Sat.
中学バスケットボール選手の頭痛・不眠症 繰り返すケガ
中学バスケットボール選手の
頭痛・不眠症
はじめに
本症例は、中学バスケットボール選手の頭痛と不眠症が改善した症例である。患者は県内屈指の強豪中学校で活躍する選手であったが、中学1年生の途中から不眠症を発症し、多い時には一晩で5回ほど途中覚醒する状態であった。さらに、同時期より頭痛も出現し、脳神経外科を受診したが、検査では異常は認められなかった。その後、カロナールを処方され、毎日服用しながら生活していた。同じチームの選手から当院を紹介され来院された。来院のきっかけは、患者本人よりも母親の心配が大きかったためであり、施術を進めるうえでは患者本人の意思や納得感を大切にする必要があると考えた。
初診から4回目までは、アクティベータメソッドを中心としたハード面の調整を行いながら信頼関係の構築を図り、丁寧に施術を重ねた。患者は猜疑心が強く、施術に対する不安や警戒心もみられたため、この過程は非常に重要であった。その後、PCRT認知調整法を取り入れると、頭痛と不眠症は順調に改善していった。
症例要約
● 症状改善(施術継続中)患者の愁訴
- 毎日出る頭痛
- 夜何度も起きて眠れない
患者の特徴・発症の経緯
警戒心・猜疑心が強い。バスケの強豪中学に進学したため市内に引っ越し、中学1年生の途中から徐々に頭痛や不眠症を発症し、薬を飲みながら生活していた。その間も左肩亜脱臼、右膝・左膝・左足の負傷を抱えながらバスケを続けており、満足にプレーができない日々を送っていた。
治療経過グラフ
症状の程度・予期不安(10段階)の推移
初回〜通院施術回数毎の記録
考察
本症例は、中学バスケットボール選手に生じた頭痛および不眠症に対し、身体へのアプローチに加え、PCRT認知調整法を併用することで症状の改善が得られた症例である。
初診時より左肩の亜脱臼や下肢の外傷など身体的問題を抱えていたため、まずはハード面の調整を中心に施術を行い、身体症状の改善と患者との信頼関係の構築を優先した。患者は警戒心や猜疑心が強く、本人の納得感を大切にしながら治療を進めたことが、その後の認知調整法へ移行するうえで重要な過程であったと考える。
認知調整を開始すると、患者の中には「監督の指示に従わなければ試合に出られない」「自由にプレーしたいが我慢している」「親を喜ばせなければならない」「結果を出さなければならない」といった葛藤や思考の偏りが存在していることが明らかとなった。また、チーム内の人間関係や競技へのプレッシャー、周囲への気遣いなど、本人が日常的に抱えていた精神的負担も症状の背景として考えられた。
これらの認知や感情に対して丁寧に介入し、本人自身が客観的に捉え直し、解釈の変容が生まれたことで頭痛や不眠症状は大きく改善し、最終的には薬に頼ることなく眠れるようになり、頭痛も改善していったと思う。
特に印象的であったのは、認知調整法を進める中で患者自身が涙を流し、自身の感情や本音を認識できた場面である。この経験を境に、「自由にプレーしてもよい」「親が望んでいるのは結果ではなく、自分らしくバスケットを楽しむ姿である」という新たな認知、新たな解釈が形成され、競技に対する捉え方にも変化がみられた。その後は実際の試合でも自分の判断でプレーできるようになり、症状改善だけでなく競技パフォーマンスの向上にもつながった。
今回の症例を通して、身体症状のみを評価するのではなく、患者が抱える心理的な負担や自分の制限する信念・価値観まで含めて評価する重要性を改めて実感した。今後もハード面の評価・調整を基盤としながら、PCRT認知調整法を組み合わせることで、患者一人ひとりの症状の背景に寄り添った包括的な施術を実践していきたい。
スポーツ現場では、痛みや不眠などの症状を身体だけの問題として捉えるのではなく、選手の価値観や思考パターン、制限する信念まで自己認知し、さらには解釈の変容が生まれることが、症状改善だけでなく競技パフォーマンスの向上や再発予防につながると感じている。引き続き、困っている方々の希望の光になれるように現場で結果を出し続けたいと思う。






