2026.07.25 Sat.
陸上長距離選手 ランニングイップス 宇都宮市 接骨院くら
陸上長距離選手の
ランニングイップス
はじめに
本症例は、陸上長距離選手が長距離を走る際に走り方が分からなくなり、走ることができなくなるスポーツイップスの症状が改善した症例である。患者は県内屈指の強豪校で活躍する選手であったが、怪我により2か月間走ることができなかった。競技へ復帰したものの、思うように走ることができず、パフォーマンスも向上しなかった。さらに、長距離になると走り方が分からなくなり、フォームもぎこちなく、周囲から見てもカクカクとした走り方となり、満足に走ることができず困っていた。整体院や整骨院で身体的な治療を受けたが改善はみられず、インターネットで当院を知り来院された。
症例要約
● 症状改善・駅伝完走(施術継続中)治療経過の要約
来院当初は練習についていくことができず、走り方も分からなくなっている状態であった。初回は、走れなくなった要因について丁寧に説明を行い、アクティベータメソッドによる身体機能の調整とPCRT認知調整法を実施した。2回目の来院時には練習についていけるようになり始め、施術を重ねるごとに徐々に本来のパフォーマンスを取り戻していった。その後も症状は改善を続け、2月の駅伝大会に出場できるまでに回復した。
患者の愁訴
- 練習についていけない
- 走り方が分からない
- 走っているとカクカクして、体が重くなる
患者の特徴・発症の経緯
よく笑う、明るい、ネガティブ、負けず嫌い。高校1年生の夏頃、怪我をして2ヶ月間走れなかった。その後復帰して走り始めたが、走り方が分からなくなり走れなくなった。特に長距離になると走れず、スムーズに体が動かずカクカクとした走りになるようになった。
治療経過グラフ
症状の程度・予期不安(10段階)の推移
初回〜通院施術回数毎の記録
考察
本症例は、怪我による2か月間の離脱をきっかけに、長距離を走ると「走り方が分からなくなる」というスポーツイップスの症例であった。整体院や整骨院で身体的な治療を受けても改善がみられなかったが、アクティベータメソッドによる身体機能の調整とPCRT認知調整法を併用することで、症状の改善だけでなく競技復帰につながった。
施術を進める中で、「先生の期待に応えなければならない」「失望されたくない」「他の選手と比べてしまう」といった認知や、「頑張らなければ価値がない」という考え方が繰り返しみられた。これらの認知は、怪我をきっかけにより強く意識されるようになり、走ることへの不安や身体の緊張につながっていたと考えられる。また、出来事に対する解釈や捉え方が症状に影響している場面も多くみられた。身体と心の両面から介入したことで、身体の動きや走ることへの不安が少しずつ改善し、本来のパフォーマンスを発揮しやすい状態へ変化していったと考えられる。
また、施術経過では調子が良い時だけでなく、一時的に症状が戻ることもあった。その多くは大会前や先生との関わりをきっかけにみられたが、その都度認知調整を行うことで再び改善がみられた。このことからも、身体だけではなく、認知や感情の変化、そして出来事に対する解釈が症状に大きく関係していたことがうかがえた。
さらに、患者本人だけでなく母親の不安も強く感じられたため、症状の仕組みや改善までの見通しを丁寧に説明し、安心して治療を受けられる環境を作ることも大切であったと感じた。また、選手と母親が「走れるか、走れないか」という結果に日々一喜一憂し、不安を抱えていたため、現段階での状態を客観的に共有し、「いつ頃までに、どのような状態を目指すのか」という目標を明確にしたことも、安心感につながる大切なプロセスであったと感じている。
今回の症例を通して、スポーツイップスは身体機能だけでは説明できない部分が多く、心理的要因や出来事に対する認知・解釈が本来のパフォーマンスに大きく影響していることを改めて実感した。今後も身体へのアプローチだけでなく、患者さんがどのように物事を捉え、どのような思い込みや不安を抱えているのかにも目を向けながら施術を行うことで、より良い結果につながると考えている。そして、一人ひとりの患者さんと真摯に向き合い、臨床で結果を出していきたい。






