2026.07.18 Sat.
野球選手の無汗症 改善報告 宇都宮市 接骨院くら
野球選手の無汗症に対するPCRT認知調整法の介入 — 「一番になりたい」比較の重圧と役割意識が生んだ発汗不全、少年が「本音」に気づくまで
11〜12歳 男児(施術開始時:小学6年生/経過中に中学校入学) ✓ 完治
📋症例要約
| 経過 | ✓ 完治症状の程度 10/10 → 0/10、CGI-I:1(著明改善) |
| 治療期間 | 2026年3月14日(PCRT認知調整法・初回)〜 5月1日(完治確認) |
| 通院回数 | PCRT認知調整法 全7回 |
| 1回の治療時間 | 30分以内(AM調整・運動器系施術と併用) |
| 転機① | 3回目・「一番になりたい」という思いの奥にある比較のメカニズムを自己認知 |
| 転機② | 7回目・骨盤の痛みを手がかりに「揺れている自分(本音)」を言語化し完治 |
本症例は、発汗不全(練習・試合時に汗が出ない)に対してPCRT認知調整法で症状が改善し完治に至った、少年野球チームの副キャプテンを務める男児の症例である。もともと、右肘の機能不全でハード面調整していたところ、母親より「最近まったく汗をかかない」との相談があり、認知調整法を導入した。全7回の施術で検出された反応言語は、「連帯感」「忠誠心」「警戒心」「自立心」「恐怖」など多岐にわたったが、通底していたのは「チームの中で一番になりたい」という比較思考と、副キャプテンとしての役割意識・忠誠心による自己への圧力であった。患者が自らその構造に気づき、比較ではなく過程(1年前の自分と今の自分)に意識を向けられるようになる過程で、発汗機能は段階的に回復し、7回目には完治に至った。
📈治療経過グラフ
🩺はじめに・発症経緯
| 年齢・性別 | 11〜12歳・男児 |
| 属性 | 少年野球チーム 副キャプテン(二遊間)/中学入学後は野球部と陸上部を兼部 |
| 患者の特徴 | チームをまとめる意識が強く、まじめで責任感が強い/自己探索が上手 |
| 発症時期 | 2026年2月頃〜(暑い時期でなくとも運動時に発汗がない状態が続く) |
| 主訴 | 発汗不全(練習・試合で激しい運動をしても汗が出ない) |
本症例は、発汗不全に対してPCRTで症状が改善し完治した症例である。患者は少年野球チームの副キャプテンを務める男児で、もともと右肘の機能改善のためハード面調整を行なっていた。
通院を続ける中、2026年3月9日の来院時に「最近汗を全くかかないようです。寒さのせいかと思っていましたが、割と激しめの運動をしても汗をかいていません」という母親からの相談があった。当初の目安検査ではCGI-S:7(重度)、症状の程度:10/10、予期不安:4/10と、発汗不全そのものへの困り感は強くないものの、症状としては最重度で推移していた。3月14日よりPCRT認知調整法を導入し、以後、運動器系の施術(肘・踵・腸骨・腹斜筋など)と並行してソフト面(心理・情報系)の調整を行った。
📅治療経過(初回〜最終)
患者のコメント(愁訴)
- 2月頃から、暑くても運動しても汗が出ない
- 右肘は施術によりおおむね回復(約70%)
調整法
AM調整(ハード面:右肘靭帯系)+PCRT認知調整法(ソフト面)
チームのリーダー的立場としての連帯感の強さと、息子としての両親との心の動きに対する警戒心が、運動時の発汗イメージに結びついて検出された。副キャプテンという役割意識がすでに初回から色濃く反応していたことがうかがえる。
患者のコメント(愁訴)
- 送球は90%OKまで回復(肘の状態)
調整法
PCRT認知調整法(ソフト面調整)
「副キャプテンはチームの士気を高めないといけない」という忠誠心の出所を探ると、「チームが強くないから、もっと強くなりたい」という思いに行き着いた。理想の強さを10としたときの自己評価は7〜8で、満足していない自分がいることを自己認知した。さらに検査を進めると、警戒心の対象が「監督」であることが判明。少年野球時代、監督がキャプテン・副キャプテンに厳しかった記憶(誤作動記憶)が現在の警戒心につながっていることが確認された。最後に、副キャプテンという大変な立場にもプラス面(チームをまとめる経験は将来役立つ)があることへの視点転換を行った。
患者のコメント(愁訴)
- 3月24日、友達と卓球をして初めて汗が出た
- 右肘:OK/自主練でのランニング中に左腹部の差し込みあり
調整法
PCRT認知調整法(ソフト面調整)
中学入学を控え、「チームの中で一番うまくなりたい」という思いを確認。その理由を尋ねると「うまくできたら楽しい」という前向きな動機の一方で、「うまい・下手」「順位」は誰が決めているのかを問うと「自分」という答えが返ってきた。ここで、周囲の選手と比べてしまうこと自体が不調(発汗不全)につながりやすいという構造を共有。「1年前の自分と今の自分」を比較する過程志向へ視点を転換し、他チームで大成した選手(宮本選手)の例を用いて「比較ではなく、過去の自分を超え続けること」の大切さを確認した。この回で初めて発汗が確認されたことから、比較思考への気づきが転機になったと考えられる。
患者のコメント(愁訴)
- 汗が出てきた/公式戦が始まった
- 練習中はOKだが、先輩の試合を応援している時は暑くても汗が出ない
- 肘:OK
調整法
PCRT認知調整法(ソフト面調整)
新チームのメンバーをイメージしてもらうと、「ポジション争いで負けて出られなくなったらどうしよう」という不安が語られた。中学まではレギュラーが当たり前だったため、出られなくなることへのショックが大きいという。そこで「出られなかった場合に得られるプラス」を尋ねると、「努力」「継続力」という答えが返ってきた。さらに、高校野球でベンチ外の選手が卒業後に社会で評価される例(作新学院の例を含む)を挙げ、「出られる選手と同じか、それ以上に価値がある」という視点への転換を図った。
患者のコメント(愁訴)
- 昨日、練習前から汗が出るようになった
- 肘:OK/寝言が多い/立って応援していると腰が痛む
調整法
PCRT認知調整法(ソフト面調整)
※本セッションは音声記録が確認できなかったため、カルテ記載(EB・反応言語)のみに基づき記載。中学入学(4月9日入学式)を目前に控え、「自立心」のテーマが勉強面にも波及していたことがうかがえる。
患者のコメント(愁訴)
- 汗が出るようになりOK
- 右アキレス腱に張り/陸上の練習見学で走り、左腰〜脇腹に張り
調整法
AM調整(左腸骨骨系)+PCRT認知調整法(ソフト面調整)
中学入学を機に「自分でちゃんとやらなきゃ」という自立心が強まったことを確認。その理由を尋ねると「下級生にちゃんと教えたい」という思いが語られた。続けて、「忠誠心(ルールに従わなければという思い)」を検査すると、中学校のルールの多さ・厳しさへの適応が話題に上り、「甘くない」という感覚を言語化。自立心と忠誠心という2つのテーマが、中学生活への適応という共通の文脈でつながっていることが確認された。
患者のコメント(愁訴)
- 汗が完全に戻った・完治
- 陸上のジョグで腰が痛む
調整法
AM調整(右腸骨骨系)+PCRT認知調整法(ソフト面調整)
中学入学後、野球部に加えて陸上部にも入部し、週数回掛け持ちで練習していた背景を確認。表向きは「走力・下半身の強化が野球に活きる」という目的だったが、「本音では野球の練習の方が好きなのかもしれない」という気持ちが本人の口から語られた。骨盤の痛みを手がかりに検査を進めると、「野球につながる」という建前で陸上を選んだ一方、「野球の練習に週2、3回充てたらどうか」という揺れがあることを自己認知。この本音と建前の心の混線を言語化したことが、症状の完治(CGI-I:1)につながる最後の転機となった。
※完治確認後の経過:5月7日には野球の走り込み・タイム走に伴う腹筋〜骨盤周りの痛み(風邪症状も併発)、5月25日にはジョギング中の脇腹の痛み(NRS 10→4)があり、いずれも運動器系の施術で対応した。発汗については両日とも「練習OK」「発汗不全の再発なし」と記録されている。
💡考察
発汗不全(無汗症)は、暑熱環境下での体温調節に直結する症状であり、放置すれば熱中症リスクにもつながりうる。器質的な原因が明らかでない場合、心理的・自律神経的な要因が関与しているケースも臨床では少なくない。本症例では、もともと右肘の使い過ぎによる運動器系の主訴で通院していた患者から、通院の過程で偶発的に発汗不全の訴えが把握された。運動器系の施術と並行してPCRT認知調整法を導入できたことが、早期からの介入につながったと考えられる。
全7回の施術で検出された反応言語(連帯感・忠誠心・警戒心・自立心・恐怖)は、表面的には多様に見えるが、通底していたのは「チームの中で一番になりたい」という比較思考と、副キャプテンという役割への忠誠心・責任感であった。少年野球からの厳しい指導の記憶、レギュラー争いへの恐れ、中学入学に伴う自立心の高まりなど、いずれも「周囲と比べて自分がどう見えるか」「役割としてどうあるべきか」という緊張のなかで、発汗という自律神経機能が抑制されていたことが示唆される。
特に3回目の施術では、「うまい・下手」「順位」を決めているのは他ならぬ自分自身であるという気づきから、比較思考ではなく「1年前の自分と今の自分」を比べる過程志向への転換が図られた。この回で初めて自発的な発汗が確認されており、比較のプレッシャーからの解放が症状改善の初期転機になったと考えられる。
そして最終回となった7回目では、野球と陸上の掛け持ちという建前の目的(「野球のための走力強化」)の奥に、「本当は野球の練習がしたい」という本音があることを自ら言語化した。この本音と建前の心の混線への気づきが、骨盤の痛みという身体反応とともに解消され、発汗不全の完治に至った。小学生から中学生への移行期にあるスポーツ少年にとって、役割意識・忠誠心・自立心といったテーマは、成長を支える大切な原動力である一方、過度になれば自律神経系の不調として現れうることを、本症例は示している。
本症例は、運動器系の主訴で来院した患者から偶発的にメンタル系の症状を把握し、PCRT認知調整法を並行して導入したことで短期間の完治に至った点で、他の施術者にとっても応用価値のある一例と考える。特に成長期のスポーツ少年においては、身体面の主訴の背後に、役割意識・比較思考・本音と建前の葛藤といった心理的テーマが隠れている可能性を念頭に置くことが、早期発見・早期対応につながると思われる。
PCRT 症例報告 | 報告者:倉持 怜史(接骨院くら)






